空想小説【介護ロボット 今日子さん 第6話 ケアマネがAIアバターになった!?】

ゆーり
ゆーり

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第1話から読みたい方は、こちら(今日子さんシリーズ目次)へどうぞ!

今日子さんと初めて出会ってから、2か月が経とうとしていました。

早朝から強い日差しが照りつけて、今日はとても暑い1日になりそうです。

2055年の今、地球温暖化はますます深刻な状況になっています。

今日の最高気温は40度超え…とテレビのニュースでやっていました。

一人分の朝ごはんを作って食べ終わると、レンタルしているタブレットから音楽が流れはじめました。

昨年大ヒットした、Ren to Robodesuが歌っている「AI・HEART」という曲です。

「タブレットの着信音は、これがおすすめ!」とケアマネジャーの田中さんが選んでくれた曲。

タブレットを見ると「今日の午後2時にモニタリングとお話があるので、お家に行ってもいいですか?ケアマネジャー 田中」と書いてあり、「はい」「いいえ」のどちらかのボタンを押すようになっています。

窓際にいる今日子さんに「今日子さーん、2時に田中さん来るんだってー」と言うと、「そうですか。ゆりこさん、いよいよですね…」と今日子さんが何やら意味深めいた口調で言いました。

「いよいよ?なにが?」と聞いたのですが、今日子さんはそれには答えず、「おきゃくさんがくるのです。ゆりこさん、さっさといっしょにへやのそうじをしましょう」とそそくさと、お掃除ロボの方に歩いていってしまいました。

年寄りが真夏に掃除をするのは大変です。

床はお掃除ロボがやってくれますが、テーブルや棚の上のホコリ、物の片づけまではお願いできないので、私は片手にハンディモップ、片手でどこかにつかまりながら、なんとか掃除を終えました。

「よくできました」今日子さんは、私が頑張ったときには、必ず褒めてくれます。

午後2時、「ピンポーン!」チャイムが鳴りました。

「ゆりこさん、お久しぶりです!今日子さんや井上さんから聞いてたけど、ほんと元気そうですね」と田中さんが笑顔で言います。

私は、デイケアみらいでスパルタ的なリハビリを受けている話、自動運転車椅子で無人回転寿司「ハマー」に行った話など、田中さんに近況を報告しました。

田中さんは相づちを打ちながら、ずっと笑顔で私の話を聞いてくれます。

「今のお話聞いてたら、ゆりこさんはもう大丈夫ですね。今日は紹介したい人がいるんです。って言っても、私なんですけどねぇ…」と田中さんは笑いをこらえながら、タブレットを操作します。

テレビモニターに映ったのは、とても綺麗な女性でした。

「えっ!?」私は、誰かに共感をもとめたくて、今日子さんを見ましたが、今日子さんはやっぱり無表情…

戸惑っている私に田中さんが言いました。

「ゆりこさん、驚かしてごめんなさい。これはね、私のAIアバターなんです。30才のときに撮った写真で作ってもらったの。ちょっとだけ、修正してもらって。これを見せたときの利用者さんの反応がいつも面白くて、ついつい説明せずに、AIアバター登場!ってやっちゃうんです」

私は思わず大爆笑してしまいました。田中さんも大爆笑。今日子さんも「あはは!」と私たちに合わせるように笑いました。

「介護って、なんだか暗いイメージでしょ。私はときどき、こういう大笑いできるようなことも大切なんじゃないかなって。だから、自分のネタで身を削ってやってるの」田中さんは笑いすぎて出た涙を拭きながら言いました。

私は素敵なケアマネジャーに出会えてよかった…

モニターの中にいるAIアバターの田中さんが「ゆりこさん、これからは人間の田中にかわって、私がゆりこさんのケアマネジャーになります。よろしくお願いしますね」と言いました。

「えっ!?」

声は人間の田中さんのままなのです。

「利用者さんが安心できるように、声だけは今のままなんです~」と田中さん。

ギャップがすごすぎる!でも、なんだか安心…

今度はAIアバター田中さんも一緒に皆で大爆笑して、人間・田中ケアマネジャーのモニタリングは終了となりました。

あとで、今日子さんが教えてくれました。

自立ステップの第一段階をクリアした人が、AIアバターケアマネになるって。

「ようは、ゆりこさん、ステップ1、ごうかくです。おめでとうございます」と、今日子さんから今日2回目の誉め言葉をもらいました。

つづく…

ゆーり
ゆーり

読んでくれてうれしいです。

今回は第6話の番外編を作りました!
人気アイドルユニットRen to Robodesuの紹介ページ。
大ヒット曲「AI・HEART」の歌詞付きです。

是非、お楽しみください!

ゆーり
ゆーり

今日子さんシリーズ、全エピソードをまとめています。

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