後輩のケア子さんが言いました。

〇〇事業所のケアマネAさん、今月末で辞めるみたいですよ!
自分にはケアマネ向いていないって…ヘルパーに戻るみたい。
Aさんは、地域の研修会や会議では「ケアマネになったばかりでわからないことも多いのですが…」と言いながらも、しっかりと自分の意見を伝えられるケアマネさんでした。まだ若い、とても感じの良いケアマネさんでした。
知らないうちに辞めてしまったAさんや、Aさんと同じように悩んでいる方へ。
「あなたはケアマネジャーに向いていないのではなく、今の環境があなたに向いていないだけなのかもしれません」
私がそう思う理由について、まとめてみました。
ケアマネジャーに向いていないって思うきっかけ

SNSや口コミから探ってみました。
- 先輩ケアマネから「それ違うんじゃない?」とダメ出しを何度もされる
- 利用者や家族と上手くコミュニケーションが取れない
- パソコン操作や書類作りに時間がかかり、残業が増える
- 周りのケアマネと自分を比較して「自分はダメだ」と思ってしまう
先輩ケアマネから「それ違うんじゃない?」とダメ出しを何度もされる
私がケアマネジャーになった時、こういう先輩ケアマネがいたんです。
パソコンでケアプランを作っていると、わざわざパソコンをのぞき込んで指摘するダメ出しケアマネが。
当時10人ほどのケアマネがいる、大きな法人の居宅介護支援事業所に所属していました。
ケアマネ未経験の私には、指導担当の師匠ケアマネがいたのですが、師匠がいない時を狙ってダメ出しをしてくる。
少ししてからわかったことですが、ダメ出しケアマネは新人が入ると、毎回これをやる。
ストレス発散のターゲットです。
あなたがケアマネに向いていないのではなく、ダメ出しケアマネが悪いのです。
利用者や家族と上手くコミュニケーションが取れない
利用者、家族、ひとりひとり価値観はさまざまなので、上手くコミュニケーションをとることは、何年経験を積んでも難しいことです。
私が心掛けていることは、「自分が話すよりも、相手の話を聞く」ということ。
同じ時間面接していても、人は「話を聞いてもらえた」と思える方が満足感が大きいのではないかと感じています。
利用者や家族の話を丁寧に聞き取って、大切なことはメモにとる。
今はマスクをしていますが、目元の表情だけでも「親身に話を聞いてくれている」というのは相手に伝わります。
新人のうちは、利用者の質問に答えられないこともあるかもしれません。
いい加減に答えるより、「事務所に持ち帰って、お返事しますね」と利用者や家族に伝えましょう。
利用者や家族の話を聞いて、聞いて聞きまくる...聞き上手になりましょう。
パソコン操作や書類作りに時間がかかり、残業が増える
ケアマネの中にはやたらと仕事が早い人がいますよね。
そういうケアマネのケアプランやモニタリング表、支援経過を見てみましょう。
簡潔にわかりやすく、早くこなせる工夫がされているはずです。
1か月のスケジュールの組み方や、訪問日の調整、サービス事業所への連絡・報告なども、ちょっとした工夫で時間の節約ができるのです。
定時で帰るケアマネを参考にして、良いところを自分に取り入れてみましょう。
私が新人のとき、姉御肌ケアマネが「とりあえず、最初のうちは人の真似したらええねん」とよく言っていました。
できるケアマネの真似をする!これ大事です。
周りのケアマネと自分を比較して「自分はダメだ」と思ってしまう
自分と経験値が同じぐらいのケアマネが、地域の研修会や会議で堂々と発言していたりすると、「うわぁ、なんてすごいんだ!」と思ってしまうのではないでしょうか。
新人の頃は、誰でも、自分に自信がないからです。
長年経験を積んでいくと、すごそうに見えるけど、そうでもない人、結構います。
安心してください!
そもそもケアマネができることは限られています。できることを最大限、丁寧にやればよいのです。
そうするといつの間にか、大きく見えていた周りのケアマネが、普通の大きさになっていきます。
職場を変えると変わること
- 上司が変わると自分の評価も変わる
- ケアマネ同士、フォローしあえる環境であれば、責任感という負担が軽減できる
- ICT化が進んだ事業所なら、事務作業が軽減できる
- 良い同僚や先輩に恵まれると、仕事が楽しい
上司が変わると自分の評価も変わる
この4月に私の事業所にも法人内から、新しいケアマネジャー、マネ子さんが着任しました。
以前は小規模多機能型居宅で介護ワーカー兼、数件のケアマネ業務をしていました。
マネ子さんの元上司からは、「自分で判断できない。なんでもかんでも聞いてくる人だから」と聞いていました。
マネ子さん自身も「居宅ケアマネジャーは未経験なので…」と自信なさげでした。
私は「できるだけ丁寧にわかりやすく」を心がけ指導することにしました。
バカ丁寧に教える私に「ここまではできています…」とマネ子さん。
自分で考えてやっていたのです。
ほとんどのことは、一度教えるだけで、きちんとこなせています。
こちらが見習いたいぐらい真面目なマネ子さん。
原因を探ると、元上司がマネ子さんに無理難題を押し付けていたことがわかりました。
そりゃ、私でも聞くわ!という内容!真面目なマネ子さんなら、なおさら元上司に何度も質問したでしょう。

できてるやん。元上司が言っていたことと違う...
あなたがケアマネに向いていないのではなく、上司が悪かっただけなのです。
ケアマネ同士、フォローしあえる環境であれば、責任感という負担が軽減できる
事業所のケアマネ同士、風通しが良い職場であれば、「自分がなんとかしなければ」と責任感に押しつぶされることはありません。
担当ケアマネジャーはあなただけど、すべての利用者は事業所で担当しているのです。
そういう意識を所属するケアマネ全員がもっている事業所が、良い事業所ではないかと思います。
管理者や上司の考え方によるところもあるでしょう。
とはいえ、転職を考える場合、どんな上司なのか、どんなケアマネがいるのか、わからない…というのが現実。
口コミや研修会などで知り合いになったケアマネさんがいれば、情報収集してみるのも良いかもしれません。
最近はケアマネが職場を変えるのはよくあること、すぐ近くの職場に転職するケアマネも多いです。
自分が担当しているケースをすべて持って、近くの事業所に転職なんていうことも…図太く生きましょう!
ICT化が進んだ事業所なら、事務作業が軽減できる
最近ではボイス機能を活用して記録を作成する事業所もあるようです。
タブレットや持ち運びのノートPCを使い、利用者宅でモニタリング記録を終わらせるなど、ケアマネ業務もICT化が進んでいます。
研修の企画書もChatGPTで作るなんてことも。
悲しいかな、私の事業所ではケアプランデータ連携システムですら、まだです…
補足;ケアプランデータ連携システムとは
居宅介護支援事業所と介護サービス事業所のあいだで毎月やりとりされるケアプランの一部情報(予定・実績)を、システム上でデータによって送受信できるようにしたものです。
これらを使いこなせれば、業務の効率化も、ぐっと上がること間違いありません。
私の事業所のように、今はなくても、あと数年後にはもっと楽に事務作業ができるようになると思います。
良い同僚や先輩に恵まれると、仕事が楽しい
私が今でも居宅ケアマネジャーを続けていられるのは、新人時代、師匠ケアマネや姉御肌ケアマネがいたからだと思います。
ダメだしケアマネしかいなければ、私もきっと、「ケアマネに向いていない」と辞めていたかもしれません。
冒頭に書いたケアマネAさんの事業所は居宅単体で、ケアマネ3名の事業所でした。
新人のケアマネさんにとっては、ケアマネの人数が多い事業所、もしくは、大きな法人で地域包括支援センターやデイなどと併設されている事業所が良いのではないかと思います。
人数が多いほうが、あなたの気持ちをわかってくれる人、同じように悩んでいる人…がいる確率が上がります。
愚痴や悩みを話せる人が近くにいること…とても大事なことです。
まとめ

せっかく取得したケアマネジャーの資格。
初めて勤務した事業所で「ケアマネジャーに向いていない、もう辞めよう」と思う前に、もう一度、考え直してみてほしいのです。
ちなみに、私は新人で入った事業所を7年で退職し、同じ区域にある、別法人の居宅介護支援事業所に転職しました。
年収を上げるためです。
それなりのキャリアを積むと、図太く生きることができるようになります!
今の時代、職場を変えるのなんて当たり前!
あなたはケアマネジャーに向いていないのではなく、今の環境が向いていないだけなのかもしれません。