【区分変更申請】タイミングはいつ?流れと注意点を主任ケアマネが徹底解説

介護認定を受けた後も、利用者や家族の状況は刻一刻と変化していきます。

  • 状態が悪化してるけど、区分変更は申請すべき?
  • 今の介護度では限度額がオーバーしてしまう
  • 状態改善の区分変更もありなの?

ケアマネ業務の中で、このような判断に迷うことありませんか?

要介護度の区分変更は、身体や認知機能が著しく変化しても、適切な介護保険サービスが受けられるための大切な手続きです。

しかしタイミングを間違えると、「却下」の判定や利用者から「利用料が高くなっただけ」などと苦情に繋がるリスクも孕んでいます。

私自身、主任ケアマネジャーとして、また認定調査員として、これまで多くの区分変更の申請代行と認定調査を行ってきました。

利用者や家族から「今の介護度が合っていないから見直して」と言われたとき、ケアマネ目線では必ずしも申請すべきタイミングでないこともあります。

また、私自身14年のキャリアの中で一度だけ「却下」という判定を突きつけられたこともありました。

この記事では、そんな私の体験談やケアマネジャーが迷いがちな区分変更のタイミング、申請時の実務的な流れや注意点を深掘りしたいと思います。

要介護区分変更を申請するタイミングと流れ、注意点を示した図解

各ステップの詳細は以下の項目で詳しく解説しています。

目次

【区分変更を検討すべき】著しい状態悪化の具体例

「著しい状態悪化」といっても、利用者や家族・ケアマネ・サービス事業者などによって、見方は異なるかもしれません。

ここでは、「利用者の著しい状態悪化」についての具体例をまとめています。

下記のような状況であれば、区分変更により介護度が上がる可能性は高いと思われます。

移動能力の著しい低下

具体例
  • 杖歩行できていたのに、車椅子でないと移動できなくなった
  • 家の中での伝い歩きが難しくなり、転倒を繰り返すようになった
  • 手すりにつかまっても、立っていることすら難しくなった

これまで自分でできていたことができなくなり、それに伴って誰かが介助しなければならない場面が明らかに増えた場合、区分変更の申請を検討すべきタイミングと言えるでしょう。

認知機能の急速な低下

具体例
  • 一人で外に出て、自宅に戻れなくなる
  • 物忘れが進行し、火の不始末が見られるようになった
  • 介護に抵抗して、暴力を振るうようになった

認知機能の急速な低下により、常に誰かの見守りや介助が必要となった場合、区分変更の申請について検討すべきタイミングです。

特に、「自宅に戻れない」「火の不始末」などは、早めになんらかの対応策が必要ですね。

日常生活動作の悪化

具体例
  • 食事を自分で食べられなくなった
  • トイレは自立していたが、トイレの度に介助が必要になった

病気や認知機能の低下が原因で、食事や排泄など、日常生活の核となる動作で介助量が増えた場合も、区分変更の申請を検討すべきタイミングと言えます。

【区分変更を検討すべき】介護負担とサービス利用の視点

利用者や家族の状況、現在のサービスの視点から、区分変更の申請を検討する場面もあると思います。

以下は、具体的な場面の例です。

家族状況の変化

具体例
  • 家族の体調不良や体力的・精神的な疲弊により、サービスを増やす必要があるが限度額を超えてしまう

家族の状況によりサービスの増回が必要な状況にも関わらず、支給限度額を超えてしまう場合は、区分変更の申請を視野に入れる必要があります。

もしくは、小規模多機能型居宅介護への変更や、定期巡回型訪問介護などの利用を検討してもよいかもしれません。

新たに医療的な処置が必要になったとき

具体例
  • 胃ろうを造設した
  • 在宅酸素が必要になった
  • インスリン注射が必要になった

新たに医療的な処置が必要になったとき、利用者自身や家族で対応が難しい場合、訪問看護の利用頻度を増やす必要がでてきます。

これによって支給限度額を超えてしまうような場合にも、区分変更の申請について検討すべきタイミングと言えるでしょう。

区分変更申請時の実務的な流れ

区分変更申請時の実務的な流れです。

STEP
アセスメント
  • 利用者や家族の状況から、区分変更が必要かどうか?
  • 区分変更によるメリットとデメリットを利用者・家族に説明する
  • 認定調査のシュミレーションをしてみる
    • 却下の可能性はないか?
STEP
サービス事業者に確認
  • サービス利用中の利用者の様子を聞く
  • サービス増回の必要性について意見を聞く
STEP
主治医に確認
  • 区分変更することについての意見を聞く
  • 主治医意見書を記載してもらえるか問い合わせる
STEP
区分変更の申請日を決める
  • サービス担当者会議の日程を調整する
    • 利用者・家族・できるだけすべてのサービス事業者が出席できるように調整する
  • 暫定ケアプランを作成する
STEP
サービス担当者会議の開催
  • 暫定ケアプランについての話し合いを行う
  • 介護度の見込み、却下の可能性があるなら認定結果後にサービスを増やすかどうかの相談

区分変更申請:4つの大切な注意点

私が、区分変更の申請を行うときに注意している4つのことをまとめておきます。

区分変更によるメリットとデメリットを利用者・家族に理解してもらう

利用者や家族の中には、介護度が高い方がメリットがあるんじゃないかと思っている方もいます。

私のこれまでの経験で「自分はこんなに状態が悪いから、要介護1なわけがない」と区分変更を希望される方がいました。

訪問系サービス(訪問看護・訪問リハビリ・訪問入浴・訪問介護※定期巡回型を除く)と福祉用具のレンタルは、介護度が上がっても利用料金は変わりませんが、通所系(デイ)・短期入所系(ショートステイ)・定期巡回型訪問介護・小規模多機能型は、介護度が上がると利用料金も上がります。

支給限度額を超える心配のないケースで、むやみに区分変更をして介護度を上げると、サービスによっては利用料金が上がるため、利用者や家族に説明しておくことが大切です。

先ほどの利用者の方に、この仕組みをきちんと説明すると、「やっぱりこのままでいいわ」となりました。

可能性は少ないが、却下の可能性があることを前提に

区分変更の申請をしても、調査結果や主治医意見書を総合的に判断した結果、「却下」となり、現在の要介護認定が維持されることもあります。

却下になっても、利用者・家族が支給限度額オーバー分を自費で了承してくれているのならよいですが、ほとんどの方はそうはいかないと思います。

同僚のケアマネジャーが、認定調査シュミレーションで介護度が上がる見込みだったのにも関わらず、却下になり嘆いていたのを見たことがあります。

そういう私も14年のキャリアの中で一度だけ、「却下」という判定を突きつけられたことがあるのです。

以下の項目で詳しく説明します。

状態改善の区分変更の申請はあり?

私が「却下」の判定を突きつけられたのは、この「状態改善の区分変更」でした。

状態改善の区分変更で却下の経験談

居宅ケアマネになって、2年目ぐらいのときだったと思います。

要介護4の利用者。家族がお金にシビアな方でデイの料金が高いと、区分変更の申請を強く希望されてこられたのです。

確かに、そのとき認定調査のシュミレーションをすると要介護2。

主治医も「主治医意見書を書く」との返答でした。

ただ、疾患により状態は不安定気味で、家族に自覚はありませんでしたが、少し問題のあるご家庭でした。

当時の管理者にも相談し、サービス担当者会議を開催の上、区分変更の申請を行いましたが、結果は「却下」。

認定審査会の判断がどのようなものだったのかはわかりませんが、区分変更の理由として適切ではなかったのだと思います。

でも実は最近、別の利用者で家族の希望により、キャリア2回目の状態改善の区分変更を行ったのです。

こちらは、「骨折からの回復」といった明確な状態改善があったので、要介護4→要介護2の結果となりました。

結論として、状態改善の区分変更については、明確な理由状態安定の見通しがあれば、利用者・家族の希望により、申請してみるのもありかなと思っています。

要支援からの区分変更申請は慎重に

私は地域包括支援センターからの再委託で要支援の利用者を3名、担当しています。

要支援の方の区分変更では、要介護になる可能性も結構あります。

月途中で要支援から要介護になると給付管理が複雑になるため、管轄の地域包括支援センターにも相談して、急を要さない場合は1日付けで区分変更を申請するようにしています。

ほかにも、私の地域では、要支援の区分変更調査は、保険者が調査員を手配しケアマネジャーの立ち合いも不可のため、結果がまったくよめないのです。

却下になる可能性の前提を含めて、より慎重にサービスを増やすタイミングを見極めています。

まとめ:注意点を意識してベストなタイミングで区分変更の申請をしよう

区分変更の申請は、ご本人やご家族の生活をより良くするための大切な「見直し」の機会です。

今回は、区分変更の申請を検討すべき利用者・家族の状況変化の具体例と申請の流れ、そしてキャリア14年の中で「却下」の判定を突きつけられた私の経験をもとに、注意点などをまとめてみました。

「却下」の可能性がある場合、認定結果がわかるまで本当にドキドキしてしまいます。

希望通りの介護度にならない可能性もあることを、利用者や家族に前もって説明しておくことも大切だと思います。

この記事が少しでもケアマネジャーの皆さんの参考になればうれしいです。

本記事に記載されているノウハウおよび手順は、筆者(主任介護支援専門員)の長年の実務経験と、特定の地域・事例における解釈に基づくものです。介護保険法、運営基準、地域の条例、および各保険者(市町村)の解釈は常に更新・変更される可能性があります。個別の判断や法的な解釈については、必ず所属法人の指導者、専門機関、または関係自治体にご確認のうえ、ご自身の責任においてご活用ください。

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