【要介護度が変わるサイン】区分変更申請を検討すべきタイミング

介護認定を受けた後も、ご本人やご家族の状況は刻一刻と変化していきます。

この記事をご覧になっているあなたは、すでになんらかの介護保険サービスを利用し、このような疑問やお悩みをお持ちではないでしょうか?

  • 今の要介護度が合っていない気がする
  • なんとなく最近、介護が大変になったけど、介護度の見直しはしてもらえるのかな?

要介護度の区分変更は、身体や認知機能が著しく低下したときに、必要なサービスを受けられるようにするための大切な手続きです。

私自身、主任ケアマネジャーとして、また認定調査員として、これまで多くの区分変更の申請代行と認定調査を行ってきました。

この記事では、区分変更の申請を検討すべき具体的なタイミングをプロの視点から解説します。

この記事を読んで、適切なサービス利用への第一歩を踏み出しましょう。

目次

そもそも「区分変更申請」とは?

区分変更申請とは、現在の要介護度が心身の状態に合わなくなった場合に、適正な要介護度に見直すための手続きです。

認定調査員

現在お持ちの介護認定の有効期間の途中でも申請することができます。

誰が申請できるか

本人・家族・地域包括支援センターや居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)などが申請可能

申請の流れ

区分変更申請→認定調査・主治医意見書→介護認定審査会→新しい要介護度の決定(約1か月後)

大切な注意点

区分変更の申請をしても、調査結果や主治医意見書を総合的に判断した結果、「却下」となり、現在の要介護認定が維持されるケースがあります。区分変更の申請をすれば、必ず要介護度が上がるわけではないことを理解しておきましょう。

要介護度の変化のサイン【心身の状態編】

認定調査員が特に注目する、身体的・精神的な「変化のサイン」について、具体的に解説します。

移動能力の著しい低下

具体例
  • 杖歩行できていたのに、車椅子でないと移動できなくなった
  • 家の中での伝い歩きが難しくなり、転倒を繰り返すようになった
  • 手すりにつかまっても、立っていることすら難しくなった

これまでご本人ができていたことができなくなり、それに伴って誰かが介助しなければならない場面が明らかに増えた場合、区分変更の申請を検討すべきタイミングと言えるでしょう。

認知機能の急速な低下

具体例
  • 一人で外に出て、自宅に戻れなくなる
  • 物忘れが進行し、火の不始末が見られるようになった
  • 介護に抵抗して、暴力を振るうようになった

認知機能の急速な低下により、常に誰かの見守りや介助が必要となった場合、区分変更の申請について検討すべきタイミングです。

特に、「自宅に戻れない」「火の不始末」などは、なんらかの対応策を考える必要があります。

認定調査員

早めに担当のケアマネジャーに相談するようにしましょう。

日常生活動作の悪化

具体例
  • 食事を自分で食べられなくなった
  • トイレは自立していたが、トイレの度に介助が必要になった

病気や認知機能の低下が原因で、食事や排泄など、日常生活の核となる動作で介助量が増えた場合も、区分変更の申請を検討すべきタイミングと言えます。

要介護度の変化のサイン【介護負担・サービスの視点編】

ご家族の状況や、現在のサービス利用状況から判断できる「サイン」を解説します。

現在のサービス量では足りない

具体例
  • 家族の体力的・精神的な限界がきておりサービスを増やしたいが、今の要介護度では回数に制限がある

要介護度ごとに設定されているサービスの上限額(支給限度額)を超えると、全額自己負担でサービスを利用することになります。

ご家族の状況によりサービスの増回が必要な状況にも関わらず、支給限度額を超えてしまう場合は、担当のケアマネジャーから区分変更の申請について、ご本人やご家族に提案があるでしょう。

ケアマネジャーとよく相談して、区分変更の申請をするか否かを決めるようにしましょう。

新たに医療的な処置が必要になったとき

具体例
  • 胃ろうを造設した
  • 在宅酸素が必要になった
  • インスリン注射が必要になった

新たに医療的な処置が必要になったとき、ご本人やご家族で対応が難しい場合は、訪問看護の利用頻度を増やさなければなりません。

これによって支給限度額を超えてしまうような場合にも、区分変更の申請について、ケアマネジャーと相談するようにしましょう。

区分変更申請のタイミングと注意点

区分変更の申請を行うタイミングについては、まずはケアマネジャーに相談することが大切です。

ケアマネジャーは「要介護度が上がる見込みがあるか」「却下にならないか」これまでの経験から、100%ではないですが、ある程度予測することができます。

また、支給限度額を超える心配がないケースの場合、むやみに区分変更をして要介護度が上がると、デイサービスやショートステイなどの利用料金が上がるので注意が必要です。

訪問系サービス(訪問看護・訪問リハビリ・訪問入浴・訪問介護※定期巡回型を除く)と福祉用具のレンタルは、介護度が上がっても利用料金は変わりません。

一方、通所系(デイ)・短期入所系(ショートステイ)・定期巡回型訪問介護・小規模多機能型などは、介護度が上がると利用料金も上がる仕組みになっています。

区分変更の申請をすべきかどうか、するのであればベストなタイミングを担当のケアマネジャーが示してくれるでしょう。

まとめ

区分変更の申請は、ご本人やご家族の生活をより良くするための大切な「見直し」の機会です。

この記事でお伝えした心身の状況や介護負担の変化のサインが見られたら、まずはケアマネジャーに相談することが大切です。

区分変更の申請をしても、「却下」と判定されてしまうことが稀にあります。

担当のケアマネジャーであれば、ご本人やご家族の状況・サービス利用状況を踏まえ、申請のタイミングについてアドバイスしてくれるでしょう。

適切なタイミングで要介護度の見直しを行い、無理なく在宅介護が続けられるようにしてください。

認定調査員

認定調査を受ける心構えやポイントについても解説しています。
是非、こちらの記事も参考にしてみてくださいね。

この記事を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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