【拒否していたデイサービスに行けるようになった】現役のケアマネが成功事例を紹介~次の利用者に繋がるヒントへ~

「デイサービスに行ってみませんか?」と勧めても、ご本人が強く拒否することは少なくありません。

「家族は肉体的・精神的にも疲れが溜まってきているし、どうしたらいいの?」と悩んでいるケアマネさん、多いのではないでしょうか。

私は14年の経験がある居宅介護支援事業所の主任ケアマネジャーです。

これまでの支援を通じ、「人付き合いが苦手」「恥ずかしい」「そもそも自分には必要ない」といった気持ちは、その方の性格やこれまでの生活歴による影響が大きいと感じています。

また、認知症により「行きたくない理由」を上手く説明できなかったり、本心を隠したりする方もいます。

ご本人がデイサービスの利用を拒否する場合、まずは「行きたくない理由」を探ることが大切です。

ちょっとした工夫や段階を踏むことで、デイサービスに通えるようになった方もいらっしゃいます。

今回は、私の経験をもとに、デイサービスに行くことができるようになった2つの事例と、デイサービスは難しかったけど、ショートステイを利用できるようになり、ご家族の介護負担が軽減されたケースをご紹介します。

拒否が強い利用者を動かすことは難しいことですが、ポジティブな気持ちで、成功事例から次の利用者に繋がるヒントになればと思います。

※本記事は個人情報に配慮した上で掲載しております。

「人付き合いが苦手」「認知症の進行」「子供じみた内容が嫌」など、理由別のデイサービス導入成功パターン解説図

3つの成功事例は以下の項目で詳しく説明しています。

目次

事例1:人付き合いが苦手、難聴もあり「デイサービスに行きたくない」

Aさんは、要介護2。認定若い頃から人の輪に入るのが苦手でした。

加齢により難聴も進み、ますます人との交流を避けるように…

テレビの音も聞こえないので、寝てばかりの生活になってしまいました。

ご家族がデイサービスを勧めても「人の集まりには行きたくない」と強く拒否します。

足腰が徐々に弱り、自宅での入浴にご本人が不安を感じるようになったタイミングで、「入浴できる短時間のデイサービスがありますよ」とケアマネジャーが勧めてみました。

最初は不安そうでしたが、デイサービスの職員がさりげなくサポートすることで、少しずつデイサービスがご本人にとて安心できる場所に変わっていきます。

半年が経ち、短時間から通常の1日型利用への変更について、ご本人が承諾されました。

人付き合いが苦手な方は、「目的」を明確に示して、「短時間利用」から始めると安心して取り組めます。

事例2:活動的だったが、認知症+難聴で人と関わらなくなった

Bさんは要介護1。もともと、麻雀・スイミング・食べ歩きなど多趣味で活動的な方。

ところが、年齢と共に耳が遠くなり、物忘れなどの認知症が見られるようになりました。

毎日のように外出していたのに、徐々に出かける回数が減り、人と関わることも避けるように…

「すぐに忘れてしまう」「どうしたらいいのかわからない」など、自分に自信が持てなくなり、自宅に引きこもりがちになられたのです。

ご家族は以前のように活動的に過ごしてほしいと、「麻雀ができる1日型デイサービス」の体験利用を希望されました。

体験利用当日は拒否なくデイサービスに行くことができたものの、難聴のため、他のご利用者と上手く会話ができず、麻雀を楽しむことができなかったのです。

嫌な思いをしたという記憶だけが残ってしまい、その後、強くデイサービスの利用を拒否されるようになりました。

そこで方向性を変え、訪問リハビリから再スタート。

もともと社交的だったBさん、リハビリスタッフがマンツーマンで関わることで、徐々に笑顔が増え、会話を楽しむこともできるように。

今も食欲旺盛なBさんに、ケアマネジャーが「美味しい食事ができる短時間のデイサービスがありますよ」と誘ってみました。

体験利用をしてみると「美味しかった!」と気に入り、正式利用に繋がったのです。

今では送迎車が来るのを、自ら玄関を出て待っています。

食べ歩きが好きだったBさんに、ピッタリはまるデイサービスを選んだのが正解でした。

今のご本人の状況から、何を「楽しみ」と感じられるのかを重視することが大切。いきなり合わないデイサービスを利用すると失敗に繋がりやすいです。

事例3:「子供じみた場所には行きたくない」デイサービスは自分に合わない

Cさんは要介護2。持病をお持ちですが、頭はしっかりしていて、「デイサービスみたいな子供じみた場所なんて行きたくない」と頑なです。

一方で、奥様も病気があり、介護疲れが溜まってきていました。

そこで選んだのが、数年前にできた比較的新しいユニット型ショートステイの施設。

Cさんは、普段から綺麗好きで几帳面な性格。

現役時代は、出張でホテルをよく利用していたそうです。

ケアマネジャーが「まだ新しくて綺麗な施設です。ホテル感覚で昼間もお部屋で自分のペースで過ごせますよ」と誘ってみました。

奥様の介護疲れを察知されていたのかもしれません。

「試しに行ってみてもいいかな」と承諾してくれました。

最初は恐らく、奥様のために渋々利用されたのだと思います。

でも、毎月、定期的に利用することでスタッフと顔なじみになり、自宅以外でも安心して過ごせる、もう一つの居場所を作ることができました。

その結果、奥様も休養することができるようになり、ご夫婦ともに安定した日々を過ごされています。

デイサービスにこだわらず、その人に合う代替え案を検討。結果的に在宅生活が続けやすくなればOKとしましょう。

まとめ:焦らず、ご本人の気持ちを理解して無理のない方法から始める

デイサービスを拒否する理由は人それぞれです。

  • 人付き合いが苦手
  • 認知症や難聴の影響
  • プライドや生活歴

大切なのは、ご本人の気持ちを理解しながら、無理のない方法で少しずつ慣れていくことです。

  • 短時間利用から始める
  • 訪問サービスで慣れる
  • ショートステイを活用する

今回は成功事例を3つ、ご紹介しました。

拒否が強い利用者を動かすことは、本当に難しいことだと私も実感しています。

ケアマネとしてなんとかしないと…焦ることも多いと思います。

この事例に共通していることは、成功までの道のりに、ある程度時間がかかったこと。

ご本人の気持ちの変化を見逃さず、「ここぞ」というタイミングで、心に響く、さりげない誘い方がよいのかもしれません。

ポジティブな気持ちで、成功事例から次の利用者に繋がるヒントになれば…ケアマネの皆さんの参考になればうれしいです。

本記事に記載されているノウハウおよび手順は、筆者(主任介護支援専門員)の長年の実務経験と、特定の地域・事例における解釈に基づくものです。介護保険法、運営基準、地域の条例、および各保険者(市町村)の解釈は常に更新・変更される可能性があります。個別の判断や法的な解釈については、必ず所属法人の指導者、専門機関、または関係自治体にご確認のうえ、ご自身の責任においてご活用ください。


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