私のブログでは散々AI、AIと言っているのですが、実は利用者支援に直結するケアプラン1~5表においては、今のところ私は、AIを使うことに肯定的ではないんです。
AIは必ずしも万能ではないし、AIで作ったケアプランをひとつひとつ確認して手直しするぐらいなら、自分でイチから作る方が早いと思ってしまう…その他にも理由はいろいろあるのですが、それよりも是非、AIに任せてみたいことがある。
特定事業所加算の要件でもある、個別研修計画。
必須の研修に参加したことを証明する「研修報告書」が必要です。
研修で配布される資料は、図解やインフォグラフィックが多く、これを研修報告書として文章にまとめるのが、地味に面倒ではありませんか?
AIを活用して、文章を図解にするのはよくあるパターンですが、逆パターンの図解を読み解いて文章にできるのか?
そして、それをAIは、研修報告書としてまとめることができるのか?
そんな逆転の発想でGeminiを使い実験してみると、ものの数秒で専門職溢れる研修報告書を作ってくれました。
今回は、その実験の手順と、最後のまとめで「このケアマネ業務はAIに任せてもいい」という結論に至った私独自の見解をお伝えします。
【図解を読み解き、専門的な文章に変換】Geminiが得意とするところ
GeminiはGoogleの最新モデルとして、複雑なレイアウトのPDFや手書きメモの画像を解析する能力に長けています。
図解やインフォグラフィックには、矢印や枠囲みが多用されていることが多いですが、文脈を壊さずに情報を抽出するのはGeminiが得意とするところです。
また、Googleドキュメントやスプレッドシートで報告書を管理する場合もGeminiであれば、連携が非常にスムーズです。
【実験】この複雑な図解をGeminiはどう文章(研修報告書)に変換するのか?
この画像は厚生労働省ホームぺージ「地域包括ケアシステム」にアップされているものです。
この実験では、研修テーマ(仮)「市町村における地域包括ケアシステムの構築」として、上記の資料が配布されたという前提で進めていきます。
研修受講後、頭では研修内容を理解できたとしても、この資料をもとに報告書として文章にまとめるのは、地味に面倒で時間のかかる作業ですよね。
筆者研修に参加するのはいいけど、報告書を書くのは面倒…
図解を研修報告書に変換させる最強プロンプト
専門職溢れる研修報告書に仕上げるために、Geminiに役割を意識させるプロンプト例をご紹介します。
あなたは、特定事業所加算を算定している居宅介護支援事業所の「主任ケアマネジャー」です。
添付したPDF資料(ここに簡単な資料の説明:地域包括ケアシステム構築のプロセス)を読み解き、事業所内の個別研修計画に基づいた研修報告書を作成してください。
【作成上のルール】
- 構成: 「研修テーマ」「内容の要約」「実務への活かし方(考察)」の3部構成にすること。
- 視点: 単なる内容紹介ではなく、ケアマネジャーが日々の実務にどう繋げるべきかという専門的視点を盛り込むこと。
- 加算意識: 特定事業所加算の要件である「資質向上」に資するような、論理的で品位のある文章にすること。
- トーン: 報告書として適切な、硬めの「だ・である」調にすること。
【出力形式】
- 研修テーマ
- 研修内容の要旨(図解から読み取れる重要ポイント)
- 今後の実務における活用とアセスメントの視点
このプロンプトのポイントは、AIに「主任ケアマネジャー」という立場を自覚させていることです。
この実験の研修テーマ(仮)は「特定事業所加算」の要件ではありませんが、必須の研修項目に対応できるプロンプト例にしています。
Geminiに上記の図解(PDF)をアップロードして、このプロンプトを入力すればOK。



ものの数秒で図解を読み解き、研修報告書として文章にまとめてくれました。
Geminiで図解を研修報告書にまとめた結果
ちょっと長くなりますが、この複雑な図解「市町村における地域包括ケアシステム構築のプロセス」をGeminiがどう研修報告書としてまとめたのか、全文をご紹介します。
【研修内容の要約】 本資料に基づき、市町村が地域の実態を把握し、必要な社会資源を整備・実行していくための循環プロセスを確認した。主な流れは以下の通りである。
- 実態把握と課題の抽出(Plan)
- 日常生活圏域ニーズ調査や医療・介護情報の「見える化」ツールを活用し、客観的なデータ分析を行う 。
- 地域ケア会議等を通じて個別事例の検討を重ね、そこから浮き彫りになる地域の共通課題や支援者の課題(専門職の数や資質)を質的に把握する 。
- 対応策の検討と施策化(Do)
- 抽出された課題に対し、地域の関係者による協議を経て、介護保険事業計画の策定や具体的なサービス基盤の整備を行う 。
- 医療・介護連携の体制整備や、ボランティア等の互助による生活支援、専門職の人材育成を計画的に実行する 。
- 評価と改善(Check/Act)
- 他市町村との比較検討や取組の共有を行い、PDCAサイクルを回すことで、次年度以降の事業計画へ反映させる 。
【考察・実務への活かし方(ケアマネの視点)】 本研修を通じて、日々の個別支援(地域ケア会議での事例検討)が、単なる一利用者の解決に留まらず、地域の不足している社会資源を見出し、市の施策(介護保険事業計画)を動かす重要な起点であることを再認識した。 特に特定事業所加算の運営において求められる「地域包括支援センターとの連携」や「専門職の資質向上」は、この構築プロセスの核となる部分である 。今後は個別事例のアセスメントにおいても、常に「地域の課題」という俯瞰した視点を持ち、地域ケア会議への積極的な参画を通じて、地域全体のインフラ整備に貢献したい。
少し専門職感が溢れすぎてしまったかもしれませんが、なかなかいいんじゃないでしょうか。
もし、修正したい場合は「もう少し、わかりやすくして」等と追加のプロンプトを出すとよいと思います。
冒頭にもお伝えしましたが、AIは万能ではありません。



AIの回答を確認して、必要なら手直し、自分の実務経験も1行加えれば更によいですね。
重要:個人情報への配慮
AIにアップロードする研修資料の中に、講師の連絡先などの個人情報が含まれている場合は、そのページを省いてアップロードしてください。
【紙の資料しかない場合】AIに正しく資料を読み取らせるコツ
オンライン研修の資料は、PDFデータで配布されることが多いと思いますが、参集開催で紙ベースの資料しかないときの対処法をまとめておきました。
複合機のスキャン機能を使ってPDF化する
事業所に複合機があるなら、資料をスキャンしてPDF化するのがよいです。
スマホで撮るのと比べて、歪みも少ないのでAI(Gemini)の読み取り精度が上がります。
重要:個人情報への配慮
研修資料の中に、講師の連絡先などの個人情報が含まれている場合は、あらかじめ付箋などで隠してからスキャンしてください。
複合機が使えない場合はスマホで撮影する
研修資料をスマホで撮影する場合、AI(Gemini)が文字や図解を正確に読み取るためには、「影」と「歪み」をいかに防ぐかが大切です。
- 自分の影を入れない
- 資料の真上ではなく、少し離れた位置から「2倍ズーム」程度で撮影すると、自分の影が入りにくい
- 窓からの自然光や照明が、資料に対して「斜め前」から当たる位置で撮るのが理想的
- 歪み防止にグリッド線を活用する
- スマホのカメラ設定で「グリッド(格子線)」を表示。資料の端とグリッドの線を平行に合わせるだけで、歪みのない綺麗な四角形で撮ることができる
- テカリや反射に気をつける(ツルツルした紙やクリアファイルに入っていると照明が反射して文字が白飛び)
- 資料を机に平置きせず、ブックスタンドや壁に少し立てかけて斜めにして撮影
- AI読み取りにおいてフラッシュの強い光は「天敵」。必ずオフにして、周囲の明るさだけで撮影
重要:個人情報への配慮
研修資料の中に、講師の連絡先などの個人情報が含まれている場合は、あらかじめ付箋などで隠してから撮影するか、撮影後にスマホの編集機能(マークアップなど)で塗りつぶしてください。
まとめ:【図解から研修報告書へ】AIに任せてもいいと思うケアマネ業務


今回はブログで散々AI、AIと言っておきながら、ケアプラン1~5表にAIを活用することに抵抗感のある私が、AIに任せてみたいと思う「図解を読み解き研修報告書にまとめる」作業をGeminiで実験。
- 資料データの準備: 複雑な図解は、文字がはっきり見えるようにPDF化、もしくはスマホ撮影
- Geminiに投げる:「最強プロンプト」と一緒に画像をアップロード
- Geminiの回答を整える:回答を確認して手直し、自分の実務経験も1行加えれば尚良し
結果、このケアマネ業務はAIでOKという私独自の結論に至りました。
理由は、利用者支援に直結しない、間接的な業務であること。
そして、図解を読み解き、報告書に文章でまとめる作業は私よりもAIの方が早くてクオリティも高いからです。
特定事業所加算の算定要件では、必須研修に参加したという証である、研修報告書が必要です。
この地味に面倒な報告書作成の作業はAIに任せ、私は利用者支援に直結する業務を優先して行いたい…
でも、今後さらにAIが進化すれば、ケアプラン1~5表にAIを活用してもいいかな…と、私も思う日がくるかもしれません。
時代の流れに抗うのではなく、その変化を柔軟に受け入れ、自分自身も進化していきたいと思っています。
大切なのは、ツールが何であれ、「目の前の利用者に向き合っているか」を問い続けること。
新しい技術を賢く取り入れながら、より質の高いケアマネジメントを目指していきたいですね。
令和6年度から義務化となった感染症対策の訓練。こちらの記事では、AIを使って簡単に訓練のシナリオを作る方法を紹介しています。


