現役ケアマネジャーがリアルな1日の仕事の流れを紹介!

ケアマネジャーは、高齢者やその家族にとって頼れる相談役であり、介護サービスのコーディネーターです。

今回は、居宅介護支援事業所で主任ケアマネジャーとして働く私の、1日の仕事の流れをご紹介します。

これからケアマネジャーを目指す人、ケアマネジャーの仕事に興味がある人は、是非、参考にしてみてください。

8:30~出勤・FAXやメールの確認・朝の小ミーティング

私が働く居宅介護支援事業所は8時30分から営業しています。

出勤して、まず一番にやることは、手洗い、体温測定、事務所内の換気、デスク周りのアルコール消毒。

コロナ以降は当たり前の作業となりました。

「居宅介護支援事業所として、感染症対策をしっかり行っています」ということを、チェックシートを使って記録に残しています。

FAXの確認

届いているFAXを整理します。主にFAXで届くものとして、サービス事業所からの空き情報や報告書、ケアマネジャーが医師に宛てた照会の返信などがあります。

私の事業所はケアプランデータ連携システムを導入していないため、月初めだと、サービス事業所からたくさんの実績がFAXで届きます。

担当のケアマネジャーごとに書類をわけるのも、結構手間がかかる作業です。

ケアプランデータ連携システムとは

居宅介護支援事業所と介護サービス事業所のあいだで毎月やりとりされるケアプランの一部情報(予定・実績)を、システム上でデータによって送受信できるようにしたものです。

メールの確認

研修や様々な会議の案内は、メールで届くことが多いです。

そのほかにも、利用者やその家族、法人や直属の上司からもメールがあるので、必ず確認するようにしています。

ケアマネジャー同士でも共有したいことがある場合は、メールを活用。

その日に休んでいるケアマネジャーがいても、メール送信しておけば、出勤後に確認してくれるでしょう。

朝の小ミーティング

朝の小ミーティングでは、それぞれのケアマネジャーの今日の予定と連絡事項を共有します。

小ミーティングは5分以内で行います。

例えば
「私が訪問中に○○さんから電話があったら、このように対応してください」
「1件目の訪問が長引いたら、そのまま2件目に行きますね」など。

小ミーティングをしておくことで、担当ケアマネジャーが不在でも、事務所に残っているケアマネジャーで対応することができます。

安心して利用者宅に訪問に行くことができますね。

9:00~午前の訪問(利用者宅へ)もしくは、事務作業

朝の小ミーティングが終わったら、利用者宅に訪問に行く、もしくは書類作成などの事務作業を行います。

利用者宅へ訪問

私は、35件前後の利用者を担当しています。

月のうち、まったく訪問に出ない日は2~3日。通常は1~4件、利用者宅を訪問。

私は社用の原付バイクで移動します。

私が所属する居宅介護支援事業所では、原付バイクのほか、電動自転車で移動するケアマネジャーもいます。

利用者宅を訪問する主な目的は、アセスメント・担当者会議、モニタリング、利用票・利用票別表の交付などです。

アセスメントとは

利用者やその家族に介護サービスに対するニーズを聞き、ケアプランを立てるため、面談を行い、利用者の情報を収集、分析を行うことです。

担当者会議とは

ケアマネジャーが中心となって、利用する介護サービス事業者や利用者とその家族に必要な情報を共有したり、意見を交換を行って、ケアマネジャーが立案したケアプランに修正・加筆などの必要がないか、確認を行う会議です。

モニタリングとは

ケアプランどおりのサービスが提供されているかどうか、利用者や家族からのニーズとズレがないかなどの確認を行うことです。

利用票・利用票別表の交付とは

1か月単位で介護保険サービスの利用予定として「サービス利用票」と支給限度額の管理や利用者負担額などの概算書となる「サービス利用票別表」を作成(利用者用と居宅介護支援事業所用に2部作成)し、利用者に交付します。

上記の目的以外でも、利用者やその家族の希望、ケアマネジャーが必要があると判断した場合に随時訪問します。

ケアマネジャーは、要介護認定の利用者であれば、月に1回は利用者宅を訪問してモニタリングをしなければなりません。

令和6年4月の介護保険改定により、一定の要件を満たせば、2か月に1回はオンラインモニタリングが可能となりました。(※1)

残念ながら、要件のハードルは高く、私の居宅介護支援事業所ではオンラインモニタリングは実施できていません。

モニタリングで利用者の心身状態やサービスの実施状況を確認し、必要があれば、ケアプランの見直しやサービスの調整を行うことになります。

(※1)参考:指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について(P9~11)

事務作業

事務所にいるときは、主に書類作成の事務作業をしながら、電話の対応をします。

アセスメントやケアプランの作成、担当者会議録、モニタリング評価表や支援経過の入力、サービス事業所への利用申し込み書類、医師への意見照会、研修や会議の報告書など、そのときに必要な書類を作成します。

ケアマネジャーがその日に行った業務のすべてを、その日のうちに書類として仕上げるのは、かなり困難です。

まだできていない書類を作成していく…というようなイメージです。

給付管理と提供表の発送

・月初めはサービス事業所から送られてきた実績をパソコンソフトに入力し、給付管理を行います。

・月末の1週間前(23日頃)を目安に、サービス事業所に提供表を発送します。

※上記はケアプランデータ連携システムが導入されていれば、大幅に事務負担が軽減できます。

書類作成は優先順位を考えて行っていく必要があります。

担当者会議が近いなら、医師への意見照会やケアプランの作成を先に行う。月初めであれば、給付管理を優先するなど、期限に間に合うように、書類作成を行います。

12:00~昼休憩

利用者宅への訪問や電話対応が長引くと、昼休憩が12時をまわってしまうこともあります。

私の居宅介護支援事業所では、ケアマネジャーがそれぞれのタイミングで1時間の昼休憩をとっています。

13:00~午後の訪問(利用者宅へ)や研修、会議などへの参加、もしくは、事務作業

午後も基本的には午前中と同じような流れで、利用者宅を訪問する、もしくは書類作成などの事務作業を行います。

研修、会議などへの参加

介護支援専門員(ケアマネジャー)の更新研修や主任介護支援専門員研修などは、午前中から夕方まで行われることが多いですが、それ以外の研修、地域の事業者連絡会、地域ケア会議などの多くは、午後から行われることが多いです。

研修や会議の一例

  • 災害や感染症対策の研修
  • ヤングケアラーや障害者、生活困窮者、難病患者など、高齢者以外の対象者への支援に関する事例検討会や研修(特定事業所加算を算定している居宅介護支援事業所)
  • 同法人ではない居宅介護支援事業所と行う事例検討会(特定事業所加算を算定している居宅介護支援事業所)
  • 地域ごとのサービス事業者連絡会
  • 地域との繋がりを深めるための地域ケア会議

ケアマネジャーは、多くの研修や会議に参加します。

私が所属する居宅介護支援事業所では、ケアマネジャー4人で分担して、研修や会議に参加。

研修や会議に参加した後は報告書を作成して、他のケアマネジャーと共有しています。

利用者や家族へ、訪問のアポイントをとる

毎月の訪問の時に、翌月のアポイントをとっておく利用者もいれば、その月に電話をしてアポイントをとる利用者もいます。

まだアポイントがとれていない利用者には、随時、電話やメールなどでアポイントをとっていきます。

前もって、利用者やその家族に、何時頃なら電話をかけても良いか、メールのほうが良いかなど、確認しておくとスムーズです。

イレギュラーな対応

イレギュラーな対応の一例

  • 利用者の体調不良や入院
    • 救急搬送が必要かどうかの確認
    • 入院になった場合は、入院先の病院へ入院時情報提供書を作成し、ケアプランと一緒に送付
  • 同居の家族が体調を崩し、急遽、ショートステイの利用が必要
    • ショートステイの空きを確認して、日程を調整
    • 必要に応じて、医師への照会、担当者会議の調整やケアプランの作成
  • 認知症の利用者が行方不明になった
    • 家族へ連絡
    • 警察へ相談

利用者が入院した場合は、入院先の病院に連絡をとり、入院時情報提供書やケアプランなどの書類を送付(FAXなど)します。

同居の家族が体調を崩し、急遽ショートステイが必要になった場合は、空きのあるショートステイを探すなどの対応が必要です。

必要に応じて、医師への照会やケアプランの作成なども、急いで行わなければなりません。

このようなときは、事業所内の他のケアマネジャーと協力して行っています。

まれに、認知症利用者が行方不明になった…なんてこともあります。

多くの場合は家族が警察に相談、その後、保護されるケースが多いのですが、このような場合は今後の対策を講じる必要がでてきます。

徘徊感知器を導入する、地域によっては行方不明の恐れがある方に対しての事前登録システムがあるので、事業所内でどのような対策をとるのか協議するようにしましょう。

17:00~翌日のスケジュール確認、終わりの会、日誌の入力

ケアマネジャーの1日は、あっという間です。

なんやかんやしていたら、夕方になっている…という感覚です。

翌日のスケジュール確認

翌日に訪問する利用者の書類(ケアプランや利用票・利用票別表など)がきちんとそろっているか確認します。

終わりの会

終わりの会では、その日に起こった出来事で、共有すべき内容を、それぞれのケアマネジャーが報告して共有します。

特定事業所加算をとっている居宅介護支援事業所であれば、「24時間の連絡体制の確保」をしなければなりません。

24時間の連絡体制の確保とは

常時、携帯電話等により連絡を取ることができ、必要に応じて相談に応じることが可能な体制をとっておくこと。輪番制で対応しているところが多い。

私の居宅介護支援事業所では、営業時間外にかかってくる電話は、携帯電話に転送しています。

ケアマネジャーが輪番で転送電話の対応を行います。

私も月のうち、1週間程度は転送電話対応をしていますが、ごくたまに夜間に携帯電話が鳴ることがあります。

終わりの会で、夜に電話がかかってくる可能性がある利用者の情報を共有することで、輪番のケアマネジャーも心づもりができますよね。

日誌の入力

今日1日の業務をパソコン上の日誌に入力して記録に残します。

どこの利用者宅を訪問して、何の研修や会議に参加した、何の事務作業をしていたか…などを、日誌に入力します。

緊急の対応などなければ退勤「お疲れさまでした!」

できれば残業はしたくありませんが、どうしても必要なときには残業をすることがあります。

私は主任ケアマネジャーで管理者をしているため、月の平均残業時間は10時間ほどです。

他のケアマネジャーは人によって違います。

ほとんど残業なしのケアマネジャーもいれば、7~8時間残業しているケアマネジャーもいます。

まとめ

ケアマネジャーのリアルな1日の仕事の流れについて、解説しました。

大きく分類すると、このようになります。

  • 利用者宅訪問
  • 書類作成、給付管理、提供表発送などの事務作業
  • 研修や会議への参加
  • イレギュラーな対応

ケアマネジャーの仕事はデスクワークも多いですが、利用者、家族、医療や介護関係者との連携がとても大切な仕事です。

日々の業務にはイレギュラーな対応などもあり、柔軟性が求められますが、そのぶん、利用者やその家族と信頼関係が築けたときのやりがいも大きいです。

今回は、ケアマネジャーを目指している人やケアマネジャーの仕事に興味のある人が、少しでもイメージしやすいよう、リアルに解説してみました。

なかには、「こんなに大変なの?」って、思った人もいるかもしれません。

だからこそ、前もってこの記事を読み、心づもりしておいてほしいのです。

私は何の心づもりもなく、居宅介護支援事業所のケアマネジャーになったので、最初はとても苦労しました。

この記事が、あなたの将来のイメージづくりの参考になりますように…

【ケアマネplusライター】では、将来、ケアマネジャーを目指す人を応援しています!

タイトルとURLをコピーしました