【脱!マンネリ】Nano Bananaで “介護現場に使える” クリップアートをゼロから作ってみた

介護事業所の広報誌やお知らせを作るとき、便利で使いやすい「いらすとや」などの定番素材は心強い存在です。

ただ、いつも同じテイストのイラストばかりでマンネリ感を感じたことはありませんか?

見る方によっては、「もう少し落ち着いた雰囲気のイラストのほうが、しっくりくる」こともあると思います。

特に、これから高齢者になる世代は情報感度も高く、よりシンプルで大人向けのデザインを好む人が増えてくるのではないでしょうか。

そこで今回は、高精度な画像生成AIツール “Nano Banana”(ナノバナナ) とプロンプト作成に “Gemini” を組み合わせ、シンプルかつ温かみのあるオリジナルの介護クリップアート作りに挑戦してみました。

実際に作ってみると、意外と簡単に介護現場にフィットするやわらかい印象のイラストが完成したので、驚きました。

この記事では、作成の流れや気づいたポイントを、実際の作品と合わせてご紹介します。

目次

【介護現場に使えるクリップアート】使用したツール

介護事業所向けのクリップアートを自作するにあたって利用したのは、Nano BananaGeminiの2つです。

クリップアートとは、文書や資料に挿し込むためのイラストや図柄のことです。
イラスト・アイコン・ワンポイント画像などを、複数作りまとめたもの。

どちらもAIを活用したツールですが、役割がまったく違い、それぞれがよい仕事をしてくれます。

Nano Banana(AI画像生成ツール)

まず、実際に画像を作ってくれるのが、Nano Bananaです。

簡単な操作で画像生成ができ、人物イラストや柔らかいタッチの絵柄が得意な印象があります。

私は現役のケアマネジャーですが、普段、高齢者やご家族と接している経験から、介護事業所の広報誌やお知らせは、優しい・落ち着いた・親しみやすいデザインがよいと感じています。

今回は、過度にポップすぎるイラストよりも、”ナチュラルで大人向けの雰囲気が出せるイラスト” を目標にしました。

筆者

実は、最初にCanvaAIで作ってみたのですが、イメージ通りにできなかったんです。

使用したプロンプト

シンプルで温かみのあるイラストスタイル。大きなハートマークの中に、介護職員の手が高齢者の手を優しく包み込んでいる様子。思いやりと温かいケアの象徴。ミニマルな線画と柔らかいパステルカラー。

クオリティが全然違いますね。

Nano Bananaなら、こんなことも叶えてくれます。

  • 介護現場に馴染みやすい、ナチュラルな人物イラスト
  • シンプルな線画、淡い色使いのイラスト
  • 画像の雰囲気やテイストを細かく調整できる
  • 生成スピードが早い

介護現場で使えるイラストという基準で考えると、Nano Bananaはとても相性がよかったです。

Gemini(プロンプト作成・翻訳サポート)

そして、もう一つ欠かせなかったのが、プロンプト作成を手伝ってくれた Gemini です。

Nano Bananaで希望通りのイラストを生成するには、「どんな人物を、どんなタッチで描いてほしいか」 を英語で具体的に指示したほうが精度が上がります。

AI画像生成ツールは、もともと英語のデータで学習されていることが多いため、英語のプロンプトのほうが意図が正確に伝わりやすいと言われています。

でも、英語に堪能でなければ、難しいですよね。

そこで、まず日本語で以下のような要望をまとめ、それを Geminiに自然で正確な英語プロンプトに整えてもらいました。

  • スタイル指定: “シンプルで温かみのあるイラストスタイル” ”ミニマルな線画” ”柔らかいパステルカラー”
  • 描写内容: 具体的なシチュエーションや感情、対象物を明記
  • ネガティブプロンプト(必要に応じて): 「子供っぽい」印象を避けるための指示

プロンプトの質が上がると、当然ながら生成されるイラストの精度も大きく変わります。

プロンプト(日本語→英語)から画像生成へ

実際に私が作ったクリップアートがこちらです。

Geminiに作ってもらった、①~③のプロンプトをご紹介します。

  • シンプルで温かみのあるイラストスタイル。介護職員がご家族(または高齢者本人)とテーブル越しに向かい合って座り、笑顔で話しながら資料を広げている。丁寧な説明と信頼できる相談の場。ミニマルな線画と柔らかいパステルカラー。Simple and warm illustration style. A caregiver sitting across a table from a family member (or elderly person), smilingly conversing while spreading out documents. Expressing careful explanation and a trustworthy consultation setting. Minimal line art and soft pastel colors.
  • シンプルで温かみのあるイラストスタイル。機能訓練指導員が高齢者に対し、平行棒や軽いボールを使ったマンツーマントレーニングを指導している。活発だが安全な雰囲気。ミニマルな線画と柔らかいパステルカラー。Simple and warm illustration style. A rehabilitation instructor guiding an elderly person through one-on-one training using parallel bars or a light ball. Active yet safe atmosphere. Minimal line art and soft pastel colors.
  • シンプルで温かみのあるイラストスタイル。高齢者が浴槽に浸かり、心地よさそうにリラックスしている。傍らで介護職員が優しく見守り、サポートしている様子。プライバシーに配慮した温かい雰囲気。ミニマルな線画と柔らかいパステルカラー。Simple and warm illustration style. An elderly person relaxing comfortably in a bathtub, with a caregiver gently assisting and watching over them. A warm atmosphere respecting privacy. Minimal line art and soft pastel colors.
筆者

このプロンプトでイメージ通りのイラストが生成できて満足!

修正したいときは、追加でプロンプトを出す

でも、ここでお気づきの方もいると思いますが、①~③のイラスト画像、枠線のスタイルがバラバラ…

こんなときは、修正したい画像を貼り付けて、追加でプロンプトを出します。

追加のプロンプト

この画像の枠線を細い茶色にして(日本語でOK)

これで統一感が出ましたね。

筆者

一度で思い通りのイラストが生成できなかったときは、追加でプロンプトを出して修正するとよいです。

Nano Bananaの画像を背景透過する

Nano Bananaで生成した画像は白い背景がついているので、実際に広報誌などで使うときは、背景透過(背景削除)する必要があります。

Canvaで背景を透過する方法(もっとも簡単)

Canva Proを利用している場合は、ワンクリックで背景を消せます。

  1. Canvaに画像をアップロード
  2. キャンバスに画像を配置
  3. 上部メニューから 「背景透過」 をクリック
  4. 数秒待つと自動で背景が削除
  5. ダウンロード → PNG → 透過背景にチェック を入れて保存
remove.bg(背景透過の定番)

無料で使えて手順も簡単。

  1. remove.bgにアクセス
  2. 画像をアップロード
  3. 数秒で自動的に背景が削除される
  4. 透過PNGをダウンロード

クリップアートは “背景が透明” であることが必須なので、Canva ProユーザーならCanvaで、Canva無料ユーザーはremove.bgで背景透過しておきましょう。

Nano bananaで作ったイラストで広報誌を作ってみると…

実際に生成したクリップアートを使って、試しにCanvaで広報誌を作ってみました。

実際の活用イメージが掴みやすくなると思いますので、ぜひご覧ください。

デフォルメされたイラストより、優しさや温もりが感じられる広報誌になったと思います。

筆者

イラストひとつで印象が変わりますね。

Canvaで広報誌などのチラシを作る方法は、こちらの記事で解説しています。

まとめ:Nano Bananaで感じた“自作イラスト”の魅力

AIを活用してクリップアートを自作するのは難しそうに感じますが、実際にやってみると想像以上に簡単で、しかも“介護現場のイメージに合う”イラストを短時間で作れることに驚きました。

広報誌やお知らせの雰囲気を変えたい方、既存の素材にマンネリを感じている方には、特におすすめの方法です。

Nano Banana と Gemini を組み合わせることで、表情や色合いなど細かい部分まで自分好みに調整でき、資料づくりの幅が確実に広がります。

「もっと大人向けのイラストがほしい」「施設の世界観に合うデザインを揃えたい」という思いがある方は、ぜひ一度試してみてください。

これからも、介護の現場で役立つAI活用術やデザインの工夫を発信していきます。

あなたの資料づくりが、少しでも楽しく・ラクになりますように。

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